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男性不妊症・男性学(アンドロロジー)

男性不妊症・男性学(アンドロロジー)

男性不妊症、無精子症、乏精子症・精子無力症、精索静脈瘤、男性更年期障害、EDについてご説明します。

男性不妊症  無精子症  乏精子症・精子無力症  精索静脈瘤 

男性更年期障害  ED(勃起不全) 



男性不妊症

避妊を行っていないにもかかわらず、何らかの原因で子供が生まれない方を不妊症といいます。通常のカップルのうち約15%は不妊症で、そのうち半分は男性側に原因があるとされています。当科では、以前から男性不妊症の治療を積極的におこなってきました。特に無精子症や精索静脈瘤の治療については国内でも有数の治療施設となっています。



無精子症

精液中に精子が全く見られない状態を無精子症といいます。正常男子の約1%が無精子症であるという研究もあり、決して珍しいことではありません。この状態ではもちろん自然妊娠は不可能です。無精子症には精子の輸送路に問題のある閉塞性無精子症と、精子の輸送に問題のない非閉塞性無精子症があります。

閉塞性無精子症の場合には、薬物治療や手術的に精子の輸送路を開通させることにより、精液中に精子が見られるようになる可能性があります。

一方、非閉塞性無精子症は精巣に何らかの問題があるために精子の形成がうまく行われていない状態です。原因としてはクラインフェルター症候群などのような染色体に異常がある場合や、明らかな原因を同定できない特発性の場合があります。非閉塞性無精子症の方は、これまでは子供を得ることは不可能とされ、子供を得るために非配偶者間精子提供(AID)が行われてきました。しかし近年、非閉塞性無精子症の方でも精巣の内部でごくわずかですが精子を作っていることがあり、精巣の内部をくまなく探すことにより精子を発見、採取できることがわかってきました。このような知見に基づき、当科では2000年から顕微鏡をもちいて精巣の中をくまなく検索し、精子を採取する「顕微鏡下精巣内精子採取術(Microdissection TESE)」を行ってきました。これまで200例以上の方にこの手術を行い、約45%の方で精子を採取することに成功しています。また、以前に顕微鏡を使用しない精巣内精子採取術(Simple or Conventional TESE)を行われた方であっても、顕微鏡下手術により約45%の確率で精子採取に成功しています。無精子症であるからといってお子さんをあきらめなくても良い可能性があるのです。



乏精子症・精子無力症

精子の数が少ない方や精子の運動性が悪い方のことをいいます。通常は精液1mlあたり1500万個以下の精子数の方をいいます。下記の精索静脈瘤がある場合には精索静脈瘤の治療をおこないますが、それと並行して、このような方に対してはビタミン剤や漢方などの薬物治療を行い精子数の改善を試みます。ホルモン値に異常がある場合はホルモン療法をおこなうこともあります。患者さんの状態に応じて治療法が選択されますが、できるだけ自然に近い形での妊娠を目指すようにしています。また女性の年齢も考慮し、適切な時期をみはからって人工授精や体外受精などの補助生殖技術の応用もおこなっています。



精索静脈瘤

精索静脈瘤は、精巣周辺の静脈の流れが悪くなり静脈瘤が出来ることで、精巣の温度が上昇し、精巣の状態が悪化し男性不妊症となる疾患です。

治療の原則は手術的に精巣周辺の静脈の流れを改善することになります。当科では精索静脈を結紮する手術療法を顕微鏡下(低位結紮術)あるいは腹腔鏡下(高位結紮術)におこなっています。また、放射線科の血管内治療チームと協力し、経皮的塞栓術などもおこない、良好な治療成績をおさめています。患者さんの状態や希望に合わせて治療法を選択します。



男性更年期障害

男性更年期障害(PADAM : partial androgen deficiency in aging male)は、"加齢に伴う血中男性ホルモンの低下に基づく生化学的な症候群"と定義されています。症状としては、うつをはじめとする精神・心理症状と関節・筋肉関連症状、発汗、ほてり、骨粗鬆症などの身体的症状および性欲の低下、勃起障害などの性機能関連症状等があります。これらの症状が複合的に出現します。男性更年期障害が疑われる場合は、様々な質問票を用いて症状を把握するとともに、血液中の男性ホルモンと数種類の関連ホルモン値を測定します。ホルモン値が低い場合は、ホルモン補充療法等によりホルモン値を補正します。また、ホルモン値に異常がない場合でも漢方薬や抗うつ剤などの副作用の少ない薬による薬物治療をおこなっています。通常ホルモン療法は6ヶ月をめどにおこないますが、症状によっては6ヶ月以上継続する場合もあります。



ED(勃起不全)

ED(勃起不全)は、精神的または身体的原因で勃起が不十分となり通常の性生活が完遂できない状態をいいます。当科では、専門外来を設けて問診、血液検査などによる診断の後、薬物(バイアグラ・レビトラ・シアリス)による治療を中心に、総合的なED治療をおこなっています。また、平日の通院が難しい方には、当科で十分な診断をおこなった後、関連施設を紹介させていただくことも可能です。