診療案内
結節性硬化症に対する集学的治療

結節性硬化症に対する集学的治療

結節性硬化症診療の現状

結節性硬化症は遺伝性の疾患であり、今なお根治的な治療法がありません。2015年に本邦でも結節性硬化症が指定難病に認定され、治療薬の開発も進み、診療環境は年々向上しています。しかし、結節性硬化症を全身病として総合的に診療できる施設は限られているのが現状です。

 

 

TSC Boardによる関係各科の連携

大阪大学医学部附属病院では、2012年に結節性硬化症に対する薬物療法が本邦で承認されたことを受けて、多数の診療科が治療方針に関する議論を交わしながら治療に臨むTSC Boardを発足しました。TSC Boardは月1回開催され、結節性硬化症を診療する関係各科(皮膚科、泌尿器科、呼吸器内科、小児科、放射線IVR科、脳神経外科)のエキスパートが集まり、多彩な症状を呈する個々の症例について、病歴、検査所見、受診状況といった情報を共有したうえで、活発に議論を交わしながら患者さんに最適と考える検査や治療を提供しています。また経過観察のスケジュールなども個々の症例に応じて検討しています。結節性硬化症は患者さんの症状が多岐にわたることより最初に受診される科は様々ですが、このように関係各科が協力し相互に連携することで、質の高い医療を提供できているものと自負しております。
TSCボードの様子 集合写真
TSCボードの様子

 

 

泌尿器科領域における腎血管筋脂肪種の治療

泌尿器科領域の治療対象としては腎血管筋脂肪種があり、これは結節性硬化症の大症状の一つとして分類されています。腎血管筋脂肪種は良性腫瘍でありますが、サイズの大きいものは破裂の危険性があるため、適切な治療が必要となります。以前より当科では放射線IVR科と連携し動脈塞栓術を施行してきました。また、前述したように、2012年以降結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪種に対し分子標的治療薬であるエベロリムスが本邦で使用可能となりましたので、当科でも動脈塞栓術のみでは不十分な症例に対してはエベロリムスの投与も行っております。

 

 

結節性硬化症外来

泌尿器科においては、専門外来として結節性硬化症外来を火曜日及び水曜日の午前に開設しております。こちらは保険医療福祉ネットワーク部を介して、予約をとることで受診することが可能です。
また当院皮膚科も遺伝病外来を開設しており、結節性硬化症を含めた疾患を専門的に診療しております。

 

結節性硬化症診療連携レポート(pdf:1.3MB)

※2016年2月9日大阪大学医学部附属病院 会議室にて。